令和五年 年始にあたって:大谷義彦(2023.1.20)
遅まきながら、明けましておめでとうございます。
どうか本年もそれぞれに与えられている場で、健康に気をつけながら、大いに頑張って頂きたいと願っております。
健康と言えば、まずコロナということになりますが、最近では私にとって身近な人が何人か罹ったりしており、十分に他人ごとではないという雰囲気です。一方、この頃は、旅行や外出、飲食等に規制がないので、これまた、妙な雰囲気です。コロナとの共存、共栄に慣れてきたということなのでしょうが、「ゼロコロナ」を目指していたある国ではそれがうまくいかず、人口14億人の内9億人が感染者(1/11)とのことですし、どこかの国からは新型のXBB.1.5がじわじわと狙っているという話もありますし、まだまだ、とても恐ろしいことです。やはり予防の基本である、マスクの着用、手洗い、「密」の回避を実行することが一番大切ですね。考えてみれば、2020年にこのホームページが開設されてから、私のご挨拶は7回目ですが、コロナの話のなかったことはありません。是非とも書かないで済むようにしたいと思っております。
さて、前々回から浮世絵のなかに描かれた「あかり」を紹介しておりますが、太陽、月、蛍、雪に続く今回の「あかり」は、篝火(かがりび)と蠟燭(ろうそく)です。(絵はクリックで拡大できます)
篝火は、小倉百人一首49番歌で大中臣能宣朝臣(オオナカトミノヨシノブアソン)の詠んだ「御垣守 衛士のたく火の 夜は燃え 昼は消えつつ 物をこそ思え」を描いた場面です。百人一首をやった人は、ご存じと思います。歌の意味は「宮中警備の衛士の焚く火が、夜は燃えて昼は消えることをくり返すように、私の恋の炎も夜は燃えて昼は消えることをくり返しながら、物思いにふける日々が果てしなく続くのだ」とのことです。篝火もなかなか乙なものですね。LEDでは、こうはいかないでしょう。
次は、いよいよ蠟燭の登場です。月岡芳年の明治21年(1888年)の作、風俗三拾二相の内の「のみたそう」で、「安政年間町芸者俗ニ酌人之風俗」の注釈があります。安政年間とは1854~60年ですが、盃を片手に、すっかりほろよい加減の町芸者。目の周りはすでに赤くなっていますが、まだまだ飲み足りなそうという雰囲気が良く出ています。脇役となっていますが、燭台、蠟燭、蠟燭の火がとても綺麗に描かれております。皆さんには、お酒の方に目が行くでしょうが、あくまで主人公は蠟燭の火です。
それでは、今年の「大谷研究室卒業生の会」を楽しみに待ちながら、お元気にお過ごしください。
2023年1月20日 大谷 義彦