新春にあたって:大谷義彦(2022.4.10)
コロナどころか戦争のニュースが毎日飛び交っている時代となっておりますが、皆様方には如何お過ごしでしょうか。おかげさまで私の方は、2月4日に3回目接種も無事に済み、風邪もひかず、腹痛も起こさず、一応毎日元気そうにしております。
さて、相変わらず「大谷研究室卒業生の会」は開催されずにおりますが、その空白を埋めようということで、「大谷研究室卒業生の会」のホームページを2020年8月から開設し、「近況報告」の場を設けております。それぞれよりご投稿いただき、皆で共有しながら理解し合い「大谷研究室卒業生の会」をより楽しく、意義あるものに育てていきたいと思っているのです。そのようなことにお応えする意味で私のご挨拶もなるべく頻度を高めなければならないと考えております。しかしながら、毎回毎回、季節のご挨拶、私の近況、コロナの話だけでは飽きてしまいますので、少し異なった話題を挿入しようと思いました。
照明学会では「日本の古いあかり」を研究している委員会があり、私も所属させていただいておりますが、ある時「浮世絵」のなかに「あかり」を取り上げているものがあるかな、という調査をして発表したことがあります*。そこで、それらを基にして毎回2~3枚の浮世絵をご紹介したいと思います。(絵はクリックで拡大できます)
「あかり」と言えば、まずは「太陽」でしょう。「東京名勝 高輪ノ真景」と題された、歌川広重(三代)の明治3年(1870年)の作です。力強い朝日に照らされて、かつては今より海が近く、海岸沿いを通っていた東海道(現在の第一京浜)の馬車や駕籠、また湾内の船々が早朝から賑わっている様子がよくわかります。
太陽となれば、次は「月」なので、東京と言えば次は「大阪」というこじ付けで、歌川芳雪作の「浪華百景 川崎渡シ月見景」を選びました。この川崎は、大阪にある淀川と大和川の合流している地点の天満側を言いまして、当時はここから備前島にわたる渡しがありました。舟から見ると、上流に綱島と桜の宮、下流に天満橋、向こうには大阪城があり、奇観であると伝えられていました。極めて静かで、平和な光景であり、月の光も冴え冴えとしているように見えます。現在は、歩行者専用の斜張橋である川崎橋が架けられています。
さて、太陽、月に続くのは「星」ですが、なかなか星は見つかりませんでしたので、「蛍」にしました。小林清親東京名所図の内「ヲ茶水屋根舟ト蛍ノ図」です。夜の暗い闇の中、崖に挟まれた神田川に蛍狩りの屋形船が浮かんでいます。よく見ると、蛍は薄い黄色に濃い黄色の点を重ねて表現されており、蛍の輝きがとても明るく感じられてます。
如何でしたでしょうか。次回もこのような浮世絵をご紹介したいと思っています。
コロナさんの方は、また新種が出来ているとかで、第7波を警戒しなければ、という話も聞こえてきます。いずれにしましても、①三密を避けること、②マスクをつけること、③手指の消毒をすることの基本を忘れないようにしなければなりません。新年度を迎えて、ますますお仕事に頑張られますようお祈りしております。そして、なるべく早い機会に皆様方とお会いできるようにと願っております。
*参考文献:照明学会誌第99巻第12号PP.652~653(2015年)
2022年4月10日 大谷 義彦
下のコメント欄より皆様のメッセージをお待ちしています。(事務局)